このSchanを発行しているNPO法人愛知市民教育ネットは、
様々な分野で働いている社会人を市民講師として授業に招く
「市民講師ナビ」という活動を行っている。
この市民講師を活用した授業(市民講座)を実施する学校が、
2005年度に入って、さらに広がってきている。
市民講座のかたちはさまざまで、たくさんの生徒たちの前での講演会や、
教室での授業や話し合い、ゲームを採り入れたワークショップなど。
テーマも、生き方・進路・福祉・国際理解など、多岐にわたっている。
普段なかなか話を聞く機会のない人たちの話は、いろんな刺激の素。
社会で活躍している市民講師の登場で、普段の学校の授業が世の中とつながり、より現実を感じられる内容になる。今回は、そんなバラエティに富んだ市民講座の中から、4月〜6月に実施したものをいくつかピックアップしてレポートする。
私立愛知高校(高校2年生)
国際理解コース
愛知高校は、昨年からスタートした「国際理解コース」において、市民講師を積極的に活用した授業づくりに取り組んでいる。市民講師から得た話をきっかけにして、現在それぞれの生徒が関心をもったテーマについて、課題研究を行っている。
4月16日(木)佐藤 光氏 [財団法人アジア保健研修所(AHI)事務局長]
医学生であった講師がNGO活動に参加するまでのドラマと、アジア保健研修所が現在行っている活動について紹介。
4月26日(木)今井 光代氏 [ネットワーク地球村]
日本の繁栄が発展途上国での深刻な環境破壊や戦争とつながっていることを、様々な事例を元に語った。
5月12日(木)市川 恵氏 [特定非営利活動法人アジア日本相互交流センター(ICAN)]
国際理解と協力をテーマに、生徒がグループ別に話し合い、まとめたことを発表する参加型のワークショップ形式で進められた。
私立日本福祉大学付属高校(高校1〜3年生、一般)
公開土曜講座
日本福祉大学付属高校は、春と秋の年2回、公開土曜講座を行っている。今回は、幅広いテーマで44の講座が行われた。少人数・見知らぬ講師・授業と全然違う雰囲気にとまどう様子もあったが、次第にうちとけ、どれも密度の高い講座になった。また午後からは、生徒・父母・教員・地域住民の四者でより良い学校づくりをめざした「四者フォーラム」が行われた。
6月18日(土) 中部よつ葉会
体に良い・おいしい牛乳と、そうでない牛乳の違いを実験した。
6月18日(土)高木好美氏[中部花の輪押し花倶楽部]
押し花で簡単にできる楽しい小物作りをした。
県立刈谷高校(高校1年生)
全体講演
6月15日(水)船津静代氏[名古屋大学学生相談総合センター専任就職相談員]
大学進学についてだけでなく、その先にある職業選択や人生設計について考えるきっかけを、という狙いで開かれた講演会。(株)リクルートを経て、現在は大学生の相談に応えている講師は、参加者に「あなたは何がしたいの?」と問いかけ、その答えを明確にしておくことが今の社会に求められている事であり、「悩みがあれば、誰かに相談すること。今、なりたい自分を真剣に考えてほしい」とメッセージを送った。
私立東邦高校(高校3年生)
国際アジア研究
東邦高校3年生は、前期・後期の2ターム制の(全10テーマの中から2つのテーマを選択する)総合学習を進めている。「国際アジア研究」のテーマでは3名の市民講師を活用した授業を行った。今後、さらに2名の講師を招いて学習する予定である。
4月26日(木)西川 修氏 [中国医学医師]
中国と日本の文化の違いや、西洋医学と東洋医学の違いなどについてにユーモラスに語った。
5月19日(木)金 正一氏 [韓国料理店経営・韓国語講師]
基礎的なハングルの読み方や韓国語の挨拶や韓国の文化について語った。
6月5日(木)後藤 明氏 [アジア太平洋子供救済センターこの指とまれ]
カンボジアで、地雷で障害を負った子どもやストリートチルドレンの支援について、ビデオや写真を交えて語った。
私立聖霊高校(高校1〜3年生)
土曜講座
生き方・キャリアを考える土曜講座に、2人の市民講師をコーディネート。
5月14日(土)瀬口 博靖氏[株式会社阪急交通社名古屋団体支店支店長]
教室の中では、生徒と講師とが対話しながら、業界の話やご自身の生き方を熱く語った。講座が終わってからも残って熱心に質問する生徒の姿が見られた。
県立松平高校(高校1・2年生)
総合学習
5月19日(木)小島 裕治氏 [ASK-NET市民講師]
ハンディキャップを生きる力に変えている話を聞き、生徒たちが自分自身を見つめなおす機会にしたい、という先生たちの要望があって講演会を行った。「みんなの“手”を、間違った使い方はしてほしくない。“手”があるのだからもっといろんなことができるはず」という講師の言葉に、生徒たちは聞き入っていた。
私立桜丘高校(高校1〜3年生、一般)
土曜講座
土曜講座のパイオニア的存在である桜丘高校では、5月28日(土)と6月18日(土)の2回、教養、音楽、趣味、進路、スポーツ、生活のテーマで約40の講座が開かれた。一般にも開放され、遠く県外からも参加する方もおり、600名を超える高校生・市民が学んだ。
6月18日(土)近藤由好氏 [ビーズインストラクター]
「オリジナルアクセサリーをつくろう」というタイトルで、ビーズをつかったネックレス製作にチャレンジした。
6月18日(土)鈴木弘枝氏 [日本刺繍教室]
日本の伝統工芸でもある日本刺繍を用いて、オリジナルの携帯ストラップをつくった。